Q1 高血圧とめまいにはどのような関係があるのですか?
A1

安静時および運動時において、脳の血液循環は、血液灌流圧(けつえきかんりゅうあつ:脳が正常な機能を営み、維持するための圧)のもとで、自動調節能により一定に保たれています。しかしながら、過度の高血圧が持続したり、血圧が急激に上昇したりすると、この自動調節能の破綻が起こり、脳内の圧力が上昇し、その結果、血液の流れが乱れて循環障害を来します。重症例では脳浮腫(のうふしゅ:脳に水分が異常にたまった状態)を生じます。
高血圧高血圧は、サイレントキラーと言われるように、発症初期には「特徴的な自覚症状」はありません。自覚症状として、不定愁訴(ふていしゅうそ:何となく体調が悪いが原因が見つからない)や頭痛から始まり、進行すると高血圧脳症に陥り、浮動性めまい、吐き気、嘔吐、さらには意識障害を併発し、不穏(ふおん:おだやかでない)や昏迷(こんめい:応答がほとんどない)を来すことがあります。

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Q2 最近、高血圧のため血圧を下げる薬を飲み始めたのですが、
時々めまいを感じることがあります。
副作用なのでしょうか?
A2

おくすりA,B,C長期間高血圧の状態にあって未治療の人は、脳の血液灌流圧(けつえきかんりゅうあつ:脳が正常な機能を営み、維持するための圧)が正常の人よりも高い水準に保たれていることが知られています。治療により、血圧を急激に正常化すると、高い水準で保たれていた脳の血液灌流圧が低くなるため、それを保とうとする自動調節能が働く結果、血液量が不安定になり、めまいや立ちくらみを自覚することがあります。
これは、副作用というより、お薬による治療に伴う生体反応で、その反応には個人差もあります。反応が強く、自覚症状が明らかな場合は、主治医と日常生活上の諸注意などを相談のうえ、あせらず時間をかけてご自分に合ったお薬を選択してもらうことが重要です。

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Q3 最近話題のメタボリックシンドロームとめまいには
何か関係があるのですか?
A3

脳卒中高血圧、糖尿病、肥満、脂質異常症(高脂血症)など、従来成人病として扱われていた疾患は、別個の疾患ではなく、生活習慣病としてひとまとめに考えられるようになってきました。生活習慣病は、特に、内臓に脂肪が蓄積した肥満の「内臓脂肪型肥満」によって引き起こされやすくなることが分かっており、その病態を近年「メタボリックシンドローム」と呼ぶようになりました。このメタボリックシンドロームは、脳血管障害を引き起こす動脈硬化のハイリスク(動脈硬化になりやすい)状態であり、中枢性めまい(脳に起因するめまい)の原因となる可能性があると考えられています。

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